7.結論

 それでは、果たして皆守甲太郎はヒロインなのか。その前に、まず今井自身がヒロインについてどう語っているか引用する。「物語としては八千穂がヒロインなんだけど、鍵であるキャラは白岐」(メイキングブック:p181)。
 八千穂は主人公と最も行動を共にする女性キャラクターであり、日常の象徴であるという意味では守られるべき存在でもある。白岐は9thでは《生徒会》の手で時計台に隠され、學園中の人々の記憶から消えるが主人公に見つけ出される。13thでは主人公に遺跡の謎を明かし、學園の命運を主人公に託す。シナリオの根本に関わるキャラクターであり、主人公に救出されるべき存在でもある。この二人がメインとして想定されているヒロインだろうというのはもっともだ。

 だが、筆者はこうも思うのである。八千穂以上に主人公の傍におり、日常の象徴でもあり、シナリオの根本に関わり、救出されるべき存在で、他の女性キャラクターとくっつくこともなく、一枚絵などでも優遇されており、フラグも厳しい。そんなキャラクターをヒロインと思ってしまうのも、また無理は無いのではないかと。

8.おわりに

 「皆守はヒロイン」というのは、2ちゃんねるの九龍関連のスレッドや、あるいはファンサイトに行けば、かつてはよく見られる言葉であった(前者に関しては、今はほとんど無い)。それがどこまで本気でどこまで冗談かは、それこそネット上の言葉であるため正確ではない。だが、初めて目にした時、「おいおいいくら何でも」と思うと同時に、納得したのも事実なのである。
 そこでこのレポートでは、皆守のこのゲームでの位置づけをもう一度確認し、もう一度皆守がヒロインかどうかを捉えなおし、結果としては「プレイヤー次第」というところに落ち着こうと思っていた。が、気がつけば6章のような境地に達していた。皆守恐るべしである。今井恐るべしでもあるのだが。

 彼には「ジュヴナイル作品には「強い少年とそれを見守る少女」の構図を必須とする信念」(wikipedia)が存在するため、当然皆守をヒロインとして考えたことは無いのに違いない。だが彼の恐ろしいのは、爆弾からかばうだの相合傘だの一緒に風呂だのといったイベントを、素で友情の表れとして繰り出して来るという点である。
 また、今回は皆守の身長、キャラクターデザインの斎藤氏によるバレンタインにカレーチョコを差し出す皆守の絵(お絵かき掲示板本家お題にて)、「九龍妖魔學園紀re:charge SPECIAL DVD 《ロゼッタ協会》 極秘ファイル皆神山の謎を追え!」などには触れなかった。これらも皆守ヒロイン説を補強する材料とはなるものの、考察に入れると大脱線確実なので、ここで触れるに留めておく。

 色々と読みにくいレポートではあったが、これを読んで九龍に少しでも興味を持ってくれれば、筆者は本望である。

参考文献

「九龍妖魔學園紀シナリオブック」上・下 新紀元社
「九龍妖魔學園紀メイキングブック」 コーエー
「九龍妖魔學園紀オフィシャルアートワークス」 エンターブレイン

某九龍ファンサイト 『皆守甲太郎さんは受で間違いないと主張してみる』
某九龍ファンサイト 『友人に宛てた九龍推薦文』、
『「友人に宛てた九龍推薦文」に対する友人からの返答文』
OTAPHYSICA   『九龍妖魔學園紀の「転校生」論』
Wikipedia 『九龍妖魔學園紀』

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